再入国許可の「一次有効」と「数次有効」の違いとは
外国人の方が日本にやってくるとき、法令に従って適切な手続を行う必要があります。いったん適法に日本にやってきたとしても、その後自由に出入りができるようになるわけではなく、日本を出て再度入国するなら「再入国」の手続を進めなくてはなりません。
そして再入国には「一次有効」と「数次有効」の2種類があり、許可手続の際にいずれかを選択する必要があります。
そのため手続上この違いを理解しておく必要がありますし、出国する本人にとってもこの違いは重要な事柄といえます。
ここではその違いなど、再入国許可の手続について簡単にまとめています。
再入国許可の概要
日本で滞在している外国人の方が一度日本を出国し、再度入国しようとするとき、ビザを再び取得することなく日本へ上陸できるケースがあります。
「在留が認められている期限内」であること、その上で出入国在留管理局やその支局・出張所から「再入国許可を受けている」ことを満たせばビザの再取得は必要ありません。
一方、再入国許可を受けないまま日本を出てしまうと、その方の持っていた在留資格は消えてしまいます。
※再入国許可を受けていれば、それ以前に持っていた在留資格や在留期間も継続する。
この点には十分留意しなければなりません。この場合、再び日本に入るには入国前に新しくビザを取得すること、上陸申請をして審査手続を受けること、そして上陸許可を受けないといけなくなります。
再入国許可はこうした手続を簡略化するために設けられた仕組みですので、事前にそういったルールがあることを知っておき、再入国許可を受けておくことが重要です。
みなし再入国許可の条件を満たせば手続不要
有効なパスポート・在留資格を持っている外国人の方が「出国の日から1年以内に再入国する」という場合、再入国許可の取得手続が不要になるケースがあります。
これは「みなし再入国許可」と呼ばれる仕組みで、次の条件に該当しないことが求められます。
- 在留期間が「3月」以下である
- 在留資格が「短期滞在」である
- 在留資格の取得手続の際中である
- 出国確認の留保対象である
- 収用令書の発布を受けている
- 在留資格が「(難民認定申請過程で受ける)特定活動」である
- 日本の公安・利益を害する活動を行う危険性がある
- 再入国許可を取得すべき相当の理由があると法務大臣に認定された
みなし再入国許可が有効な期間は「出国の日から1年間」です。
ただし在留期限を先に迎えるケースにおいては、その期限までがみなし再入国許可における有効期間となります。
なお、みなし再入国許可が認められると再入国許可の取得手続は不要になりますが、出国するときに入国審査官に対して「みなし再入国許可で出国をしたい」という旨を伝えないといけません。
その意思表示のため「EDカード」と呼ばれる書類を作成しておき、これを提示できるように準備しておく必要があります。
再入国の「一次有効」と「数次有効」
再入国許可は次の2種類に分けることができます。
一次有効 | 数次有効 |
---|---|
・許可が1回限りで有効。1回のみ再入国が認められる。 ・「SINGLE」と表記される。 | 一定の期間内なら許可が何度も有効。再入国が何回もできる。 ・「MULTIPLE」(マルチ)と表記される。 ・有効期間は原則5年。 ※特別永住者の方は6年。 |
両者の違いは、再入国できる回数です。
一次有効(シングル)では有効期間内に1回のみの再入国、数次有効(マルチ)では有効期間内に何度でも再入国できます。
そのため出入国の理由に応じて再入国許可の手続時に一次・数次の選択を適切に行う必要があります。
一次有効・数次有効の選択方法
一次有効(シングル)と数次有効(マルチ)のどちらを希望する場合も基本的な手続の流れは同じです。
「出入国管理及び難民認定法」の第26条に規定されている再入国許可のルールに基づき、住居地を管轄とする地方出入国在留管理局やその支局・出張所に対して申請を行います。
※出国をする前の申請が必須。外国人の方本人、その法定代理人、代理人として依頼を受けた弁護士や行政書士、等が申請をできる。
※許可が下りるとき、一次有効なら3,000円、数次有効なら6,000円の手数料を収入印紙で納付しないといけない。
申請をするときは「再入国許可申請書」を作成しないといけません。
この申請書には外国人の方についての国籍・生年月日・氏名・旅券番号などの情報を記載するとともに、次の情報も記載しないといけません。
- 渡航目的(観光、商用、親族訪問、留学、その他、の別をチェック)
- 予定渡航先国名
- 出国予定年月日・港
- 再入国予定年月日・港
- 希望する再入国許可(一次有効、数次有効、の別をチェック)
希望する再入国許可のチェック欄には「1回限りの再入国許可 Single」と「数次の再入国許可 Multiple」の2つが用意されていますので、ここでいずれかをチェックすることで希望を出すことができます。
希望を出せば100%その通りに許可が下りるということでもありませんので、手続に不安のある方は、事前に外国人の出入国に詳しい専門家に相談しておくと良いでしょう。
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