国外に財産がある方は必見!相続税の「外国税額控除」とは?
国外に財産がある方は、二重課税が生じることがありますので、その問題を解決する「外国税額控除」の仕組みについて知っておきましょう。外国で納めた税額分を相続税から差し引くことができます。
外国税額控除の概要
相続や遺贈(遺言書による財産の譲与)によって国外にある財産をもらい受けた方であって、当該財産について国外で相続税に相当する税が課せられているのなら、その税負担の分を控除することができます。
この税額控除を「外国税額控除」と呼びます。
二重課税を回避するのが役割ですので、節税効果を高めるためのものであはりません。外国に財産があることでお得になるのではありませんのでご注意ください。
外国税額控除の適用条件について
具体的にどのような方が控除の適用を受けられるのか、そして要件を満たすときはどのような手順で適用をしないといけないのかを説明します。
適用対象者
算出された相続税の額から外国税額控除額を差し引くことができるのは、次の2つの要件を満たす方です。
- 「相続または遺贈により外国にある財産を取得した方」、あるいは「相続開始の年において、被相続人から外国にある財産の贈与を受けた方」
- 取得した国外財産に関して、その地の法令に基づいて相続税に相当する税金を課された方
つまり、「国外の財産を取得した」というだけで外国税額控除が適用されるわけではありません。二重課税を回避するための制度ですので、その地における相続税相当の負担を負っていないと要件を満たさないのです。
相続税の計算過程における適用順序
外国税額控除の適用を受けられるときは、一般的な相続税の計算に基づいて相続税額を算出したのち、最後にこれを適用することになっています。
通常の流れでいうと、課税対象の遺産の総額に基礎控除を適用し、その後法定相続分での按分や税率の適用。そして実際の取得分に対応した分割を行い、各自の「算出税額」を明らかにします。
ただ、この算出税額に対して「2割加算」と呼ばれる処理を要するケースがありますし、その他の「税額控除」が適用可能なケースもあります。これらは次のような順序で適用されることを知っておいてください。
適用順序 | 内容 | |
|---|---|---|
1 | 2割加算 | 被相続人の妻や夫、子(その代襲相続人である孫)、父・母以外に相続税が課税されるとき、算出税額の2割を加算する。 |
2 | 贈与税額控除 | 贈与財産を相続財産に含めて(生前贈与加算)計算をしていた場合、すでに納めた贈与税と相続税で二重課税が起こるため、これを回避するため贈与税分を控除する。 |
3 | 配偶者控除 | 被相続人の配偶者は、取得する遺産が法定相続分または1億6,000万円のいずれか大きい額までであれば非課税となるよう控除が適用できる。 |
4 | 未成年者控除 | 18歳未満の未成年者なら、年齢に応じた税額控除が適用される。 |
5 | 障害者控除 | 85歳未満の障害者なら、年齢に応じた税額控除が適用される。 |
6 | 相次相続控除 | 相続開始前の10年以内に被相続人が相続等により財産を取得し、相続税が課されていたときは、前回の相続からの期間に応じた税額控除が適用できる。 |
7 | 外国税額控除 | 相続等により国外財産をもらい受け、当該財産に相続税に相当する税が課されていたときは、その税額分を控除できる。 |
この7つの適用について考慮し、計算を進めることで、実際の納付税額が明らかとなります。
控除額の計算方法
基本的には外国で負担した相続税相当額を控除することができますが、厳密には次の①と、次の算式を用いて算出される②を比較し、いずれか少ない金額を控除額としなくてはなりません。
- 「外国税相当額」
= 実際に課された外国税額 - 「控除限度額」
= 算出相続税額×(在外財産の価額-その在外財産に係る債務)/(純資産価額+相続開始年分の生前贈与加算額)
※国内税率より国外税率の方が高いケースもある。この場合、より外国税額控除の額が大きくなるが、その分までの二重課税の配慮はする必要がないと考えられていることから「控除限度額」が設けられている。
※ここでの「算出相続税額」とは、相次相続控除までを適用した後の額を指す。
日本円への換算など、計算が複雑になることもありますし、計算ミスが発生しやすくリスクが大きいため、外国にある財産を受け取った方は税理士に相談することをおすすめします。
当事務所が提供する基礎知識
Basic Knowledge
-
個人事業主が事業計画...
事業計画書とは、これからどのような事業を行っていくのか、事業の特徴はどのようなものがあるのか、今後どのような売 […]
-
経営管理ビザとは? ...
「日本で自分の会社を立ち上げたい」「経営者として日本で働きたい」といった願望を持つ外国人の方は、経営管理ビザの […]
-
高度専門職ビザとは|...
「高度専門職ビザ」は、日本の企業、公的機関との契約に基づいて活動を行う外国人のうち、高度の専門的能力を持つ人材 […]
-
【賃上げ促進税制】制...
従業員の賃上げなどに対して、財源の確保を課題と感じている企業もあるかもしれません。賃上げ促進税制は賃上げや従業 […]
-
法人税の節税につなが...
法人税の節税に取り組むかどうかで会社に残るお金が大きく変わってくるケースがあります。誤った認識のまま取り組んで […]
-
法人の決算申告に必要...
法人にとって欠かせないのが、法人決算の申告です。法人の決算とは、法人の一定期間の収支を把握し利益や損失の計算を […]
よく検索されるキーワード
Search Keyword
資格者紹介
Staff
松田 詔一Shoichi Matsuda
個人様・法人様が抱える税務問題をはじめ、海外税務、ビザ申請など幅広い分野に対応いたします。
お客様の立場にたち、わかりやすく丁寧な説明を心がけています。
お困りの際はおひとりで悩まず、お気軽にご相談ください。
- 所属団体
-
- 東京税理士会
- 日本行政書士会連合会
事務所概要
Office Overview
| 名称 | 松田詔一税理士事務所 |
|---|---|
| 代表者 | 松田 詔一(まつだ しょういち) |
| 所在地 | 〒110-0005 東京都台東区上野3丁目16-3 上野鈴木ビル3階 |
| 連絡先 | TEL:03-6272-3355/FAX:03-6272-3366 |
| 対応時間 | 平日 9:00~17:00(事前予約で時間外も対応可能です) |
| 定休日 | 土・日・祝(事前予約で休日・も対応可能です) |