初心者でもわかる!法人税申告書の書き方や必要書類を紹介
法人設立して事業活動を行った場合、そこから得られる所得について法人税が課税されます。
毎年法人税の申告書を作成し、必要書類を添えて税務署に提出しないといけません。
設立から間もない法人やごく小規模の法人の場合、経営者など会計を専門としない方が対応するケースもあるでしょう。
そこで、「これまで法人税申告書を作ったことがない」「何から手をつければいいのか分からない」という方に向けて当記事では法人税申告書の書き方、必要書類について易しく説明していきます。
法人税申告書とは
法人が得た1年間の所得には法人税が課されますので、納税義務を果たすためにその所得の内容と納めるべき税額について申告をしなければなりません。その申告をするために作成するのが「法人税申告書」です。
売上や経費等の詳細を把握できていれば所得についても計算が可能ですが、会計上の「利益」と法人税が課税される「所得」は必ずしも一致するものではないため、その調整等を行うためにも複数の表を作成していくこととなります。
他にも納税額が正しいことを示すために種々の明細書を作る必要がありますので、「1枚の申告書を作成してお金を収めたら終わり」と単純に処理できるものでもありません。
少なくとも次の5つの別表についても作成・提出が必須です。そして各別表を作成するために他の別表を作成する作業も発生します。
- 別表1:各事業年度の所得に係る申告書
法人情報の記載や納税額の計算を行う基本の申告書 - 別表2:同族会社等の判定に関する明細書
法人が同族会社や特定同族会社にあたるのかどうかを判定するために使う - 別表4:所得の金額の計算に関する明細書
課税所得金額を示す - 別表5(一):利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書
純資産を示す - 別表5(二):租税公課の納付状況等に関する明細書
租税公課の納付状況を示す
法人税申告書作成の基本的な手順
法人税申告書の作成手順、作業量などは各社違いがありますが、ここではごく基本的な事項に絞って、シンプルに手順を紹介していきます。
要約すると、次の流れに沿って申告書等を作っていくことになります。
- 所得の金額を計算するために別表4や別表6以降を作成する
- 法人税の額を確定するために別表1と別表5を作成する
- 同族会社等の判定のために別表2を作成する
各手順の詳細を以下で説明していきます。
STEP1:所得の金額を計算(別表4)
課税対象となる所得の金額を把握する必要があります。
そこで別表4を作成することになるのですが、その別表4の作成に向けて、まずは別表6以降を作らなければなりません。
別表6以降の明細には300を超える項目が設けられており、必要に応じて記入をしていきます。
これは会計上の損益と法人税の計算上必要になる所得の金額を調整するために必要な作業です。
そして別表6以降の内容を元に、その後別表4の項目を埋めていきます。
別表4では所得金額を算出するため、会計上の損益に対して加算・減算を行います。
例えば会計上の収益ではないものの税務上の益金に含まれるものは加算。
逆に、会計上の収益ではあるものの税務上の益金に含めないものは減算します。損金についても算入・不算入の区別をして加算・減算処理を行います。
STEP2:法人税の確定(別表1と別表5)
別表1にて、所得に税率を乗じて法人税の額を計算します。
そこで別表4の作成により確定された所得の金額を別表1に転記。さらに税額控除を適応させて、当該法人が納めないといけない税額を確定させます。
また、算出された税額を別表5(一)と別表5(二)に記入してそれぞれの表を完成させます。
STEP3:同族会社等の判定(別表2)
納めるべき法人税の計算については別表1の作成により終了するのですが、別表2を作成して当該法人が同族会社や特定同族会社に該当するかどうかも示す必要があります。
そこで別表2では、株主の構成あるいは合同会社における社員の内訳などを記します。身内が含まれている場合はそのことを記載します。
この書類の内容が今後に影響しないケースも多いのですが、提出することが定められていますのでこれも作成しないといけません。
また、同族会社等に該当する場合は一定の制限がかけられますので留意しましょう。
法人税の申告で必ず準備する書類
法人税の申告書はもちろんですが、申告時には他にも添えるべき書類がいくつかあります。
法人の性質にもよりますが、少なくとも次の書類については準備が必須となります。
- 決算書
- 勘定科目内訳書
- 法人事業概況説明書
必要書類の詳細についても以下で紹介していきます。
決算書
日々の帳簿データを参照して、決算書を作らなければなりません。決算書は法人の持つ財産やその流れなどを記載した書類の総称です。
法人税の申告においては少なくとも①貸借対照表(B/S)、②損益計算書(P/L)、③株主資本等変動計算書(S/S)、④個別注記表、の4つは作成しておく必要があります。それぞれの概要は下表の通りです。
必要な決算書 | 概要 |
---|---|
貸借対照表 (B/S) | 貸借対照表は、決算日の時点で法人が持つ次の3要素を示す書類。 ● 資産(現金や不動産などの会社財産) ● 負債(借入金などの他人資本) ● 純資産(資本金などの自己資本) 法人の資産や資金の調達に関することなど、財政状態を把握するために使われる。 |
損益計算書 (P/L) | 一定期間における法人の収益・費用を記載することで利益(または損失)を示す。 法人の成績を表す書類。 |
株主資本等変動計算書 (S/S) | 純資産のうち、特に株主資本に着目して変動やその理由について報告するための書類。 |
個別注記表 | 貸借対照表や損益計算書などの注記をまとめた書類。 必ずしも注記表として1つの書面にまとめてこれを作成する必要はなく、貸借対照表などの各書類に注記事項として記載するのでも良い。 |
上場企業などの場合はさらに「キャッシュ・フロー計算書」の提出も求められますし、個別注記表で記載する項目などにも違いが生じます。
勘定科目内訳書
「勘定科目内訳書」は、貸借対照表や損益計算書における、勘定科目の内訳を記載した書類のことです。
税務署が財務・取引の状況などを正しく把握するために必要なもので、法人税申告にあたり作成・提出をしないといけません。
勘定科目ごとに詳細を記載することになりますので、日頃の記帳の仕方がここでの作業負担に影響してきます。
法人事業概況説明書
「法人税事業概況説明書」は、法人の行う事業内容等について、税務署に詳しく伝えるための書類です。
法人名や納税場所などの基本情報から、事業内容、海外取引のこと、従業員数、経理状況など、所定の書式に沿って記載を進めていきます。
これら必要書類の準備、法人税申告書の作成などは、経営者の方自ら対応してもかまいません。
非常に規模が小さい、法人としての動きがほとんどない、といった場面では大きな問題もなくこなせるかもしれません。
しかし納税額の計算ミスが起こるリスクはありますし、本業に割ける時間が少なくなるなどのデメリットがあります。
そこで法人税についての処理は税理士に任せて、経営者として対応すべき仕事に注力するという方がほとんどです。経理担当の従業員がいる場合でも税理士を活用することで作業範囲を絞ることができ、また、チェック機能を働かせることができるなどの利点が得られるでしょう。
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