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法人税の種類~法人別の特徴や計算方法の違いなど~

法人税は、個人における所得税に相当する税金です。法人による活動から生じた所得に対しては、原則として法人税が課税されます。

ただ、法人の種類に応じてその課税のされ方が異なります。

当記事では、最初に法人の種類について簡単に説明した後、各法人における法人税の計算方法、税務・会計に関することを説明していきます。

法人の種類

法人にはいろんな分類の仕方がありますが、1つに「営利を目的とする法人」と「営利を目的としない法人」に分ける方法があります。

 

この2つに分けて、それぞれ具体的にどのような法人が属しているのか、挙げていきます。

 

なお、ここでいう営利・非営利の違いは、“得た利益を当該法人の構成員に分配するかどうか”にあります。

儲けを出そうとしているかどうかという意味ではないため、混乱のないようにしましょう。

営利を目的とする法人

営利を目的とする法人(営利法人)の代表例として、「株式会社」と「合同会社」が挙げられます。

 

特に株式会社はイメージがしやすいです。
構成員である社員は株主のことであり、株式会社が得た利益は出資者たる株主に還元されますので、営利法人に該当します。

 

合同会社も株式会社に次いで認知度の高い法人で、社員が「有限責任」であること、社員1人で設立ができること、資本金の下限がないことなどが共通しています。

 

その一方、次の点で株式会社と合同会社には違いがあります。

 

  • 意思決定の方法
    株式会社では「株主総会」、合同会社では「全社員の同意」が、最上位の意思決定方法
  • 代表の名称
    株式会社では「代表取締役」、合同会社では「代表社員」と呼ばれる
  • 役員の任期
    株式会社では原則として「2年」、合同会社には法律上の定めなし
  • 設立の手続とコスト
    株式会社では「定款の認証手数料」がかかるが、合同会社では認証手続自体が不要。また、設立登記の「登録免許税の最低額」が株式会社では15万円、合同会社では6万円
  • 決算公告の有無
    株式会社には毎年決算を官報等に掲載する義務があるが、合同会社にその義務はない

営利を目的としない法人

法人の構成員に利益分配をしない法人は、営利を目的としない法人(非営利法人)に分類されます。

 

代表的な法人に「一般社団法人」「一般財団法人」「NPO法人(特定非営利活動法人)」などがあります。

 

一般社団法人と一般財団法人は、それぞれ“人の集まりを基礎とする組織”、“財産の集まりを基礎とする組織”という異なる性質を持ちます。ただ、収益事業を行うこともできますし、その他共通点も多く持つ法人です。

 

これに対してNPO法人は、「特定非営利活動法人」とも呼ばれるように、非営利活動に分類される特定の活動を行うことを目的とする法人です。

 

この“特定の活動”として20の分野が掲げられています。
医療や福祉の増進、社会教育の推進、農山漁村の振興、災害救援、子どもの健全育成、科学技術の振興・・・など、活動内容は限定的です。

株式会社や合同会社における法人税の課税

各法人の違いは、税務・会計においても現れることがあります。

 

とはいえ法人の種類別に、根本から適用される税制が変わるわけではありません。
例えば株式会社と合同会社は法人税の課税においては同じように取り扱うことができます。

 

 

株式会社と合同会社の法人税

課税対象

すべての所得

税率

(資本金1億円以下の中小法人の場合)

課税所得800万円以下の部分

15%

課税所得800万円超の部分

23.2

 

税率の適用条件などの詳細は、国税庁HPNo.5759 法人税の税率」から確認ができます。

 

個別の計算については、税理士に依頼して対応してもらいましょう。

 

なお、各種税金の計算は、日々記録を残していく帳簿等を根拠に行います。

帳簿等を基に作成される次の計算書類等も法人にとって重要な資料であり、全体として整合性が取れていることが大事です。

 

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 個別注記書
  • 附属明細書
  • 株主資本等変動計算書
  • 事業報告書

 

ただし合同会社の場合、「事業報告書」や「附属明細書」は不要です。

また、「株主資本等変動計算書」の代わりに「社員等変動計算書」を作成することになります。

一般社団法人や一般財団法人における法人税の課税

一般社団法人や一般財団法人は、税制上、「普通型」と「非営利型」の2タイプに分けることができます。

 

普通型は株式会社などと同様の事業活動を行う法人として、所得のすべてに対して法人税が課税されます。

 

一方、“非営利性が徹底されている”ことや“共益的活動を目的としている”ことが認められれば非営利型となります。

この場合、原則として法人税が非課税となり、収益事業を行った場合にのみその部分が課税対象となります。

 

 

普通型の場合

非営利型の場合

課税対象

収益事業から生じた所得

なし

税率

課税所得800万円以下の部分

15%

課税所得800万円超の部分

23.2

 

課税対象となる所得に関しては、株式会社などと同じ税率が適用されます。

 

なお、一般社団法人や一般財団法人では、次の計算書類等を作成することになります。

 

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 附属明細書
  • 事業報告書

NPO法人における法人税の課税

NPO法人に関しても、原則として法人税非課税としつつ、例外的に収益事業から生じた所得に対して課税をするとの取り扱いをされています。

 

 

公益法人等とみなされているもの(NPO法人等)

課税対象

収益事業から生じた所得

税率

課税所得800万円以下の部分

15%

課税所得800万円超の部分

23.2

 

法人税の区分上、NPO法人は「公益法人等とみなされているもの」の枠組みに属し、上記税率が適用されています。その他同じく「公益法人等とみなされているもの」に入る法人としては、認可地縁団体や管理組合法人、法人である政党等、マンション建替組合などが挙げられます。

 

なお、NPO法人が作成すべき計算書類等は以下の通りです。

 

  • 貸借対照表
  • 活動計算書
  • 財産目録
  • 事業報告書

 

「損益計算書」や「附属明細書」の作成は不要ですが、株式会社では作成義務のなかった「活動計算書」や「財産目録」が加わっています。

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