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相続税の障害者控除~計算方法や適用条件、注意点について~

相続や遺贈で財産を取得した方には相続税が課税されますが、その方が障害者であるときは年齢に応じた税額控除を適用できます。

 

これは「障害者控除」と呼ばれる相続税法上の制度で、税負担を大きく下げることができます。障害者の方自身あるいは障害者を扶養している方などは条件や計算方法をぜひ押さえておきましょう。

障害者控除の概要

相続税法ではいくつか税額控除の仕組みが用意されており、障害者控除のほかにも未成年者控除や配偶者控除、贈与税額控除などが条件を満たすことで適用可能となります。

 

それぞれ制度の趣旨は異なり、意味もなく特定の人物を優遇しているわけではありません。例えば障害者控除においては「障害者の生活保障への配慮」「釈迦福祉の増進を図る」などがその目的とされています。

 

その他、適用条件や計算方法もそれぞれに異なっており、相続税の計算を正確に行うには各種税額控除についての知識も持っていなくてはなりません。

控除額の計算方法

障害者控除の計算方法は相続税法に規定されています。

 

(障害者控除)
第十九条の四 相続又は遺贈により財産を取得した者・・・が当該相続又は遺贈に係る被相続人の前条第一項に規定する相続人に該当し、かつ、障害者である場合には、その者については、第十五条から前条までの規定により算出した金額から十万円(その者が特別障害者である場合には、二十万円)にその者が八十五歳に達するまでの年数(当該年数が一年未満であるとき、又はこれに一年未満の端数があるときは、これを一年とする。)を乗じて算出した金額を控除した金額をもつて、その納付すべき相続税額とする。

引用:e-Gov法令検索 相続税法第19条の41

 

一般障害者と特別障害者で計算方法が若干異なるため、2つのケースに分けて解説します。

85歳までの年数に「10万円」を掛けて算出

一般障害者の場合は次の算式に従って控除額を算出します。

 

控除額 = 10万円×{85歳-本人の年齢(1年未満は切り捨て)}

 

例1)法定相続人の子どもAは125月の一般障害者である。

控除額 = 10万円×(85歳-12歳)

    = 730万円

 

例2)法定相続人の弟Bは543月の一般障害者である。

控除額 = 10万円×(85歳-54歳)

    = 310万円

特別障害者の場合は「20万円」を掛けて算出

特別障害者の場合は次の算式に従って控除額を算出します。

 

控除額 = 20万円×{85歳-本人の年齢(1年未満は切り捨て)}

 

例3)法定相続人の子どもCは125月の特別障害者である。

控除額 = 20万円×(85歳-12歳)

    = 1,460万円

 

例4)法定相続人の弟Dは543月の特別障害者である。

控除額 = 20万円×(85歳-54歳)

    = 620万円

適用を受けるための条件

障害者控除の適用を受けるには、次の条件を満たさないといけません。

 

  • 居住無制限納税義務者であること
    → 国外に住所がある方だと適用を受けられない。
  • 法定相続人であること
    → 相続放棄をして相続ができなくなっても、この控除の適用は受けられる。
  • 障害者であること
    • 一般障害者:身体障害者手帳の等級が36級の者、精神障害者保健福祉手帳の等級が2,3級の者
    • 特別障害者:身体障碍者手帳の等級が1,2級の者、精神障害者保健福祉手帳の等級が1級の者

相続放棄があるときの注意点

上述の通り、法定相続人になれる方が相続放棄をしても障害者控除の適用を受けることは可能です。遺贈や生命保険金等の受取人になっているとき、相続放棄をしてもその取得した財産に対して相続税が課税されますが、ここで一定の額を差し引いて納税額を計算することが認められています。

 

一方で、相続放棄によって相続人となった方には適用がありませんので注意してください。

 

例えば、被相続人の配偶者と子どもが法定相続人になる場面で、子どもが相続放棄をし、被相続人の両親もすでに亡くなっているとします。このとき被相続人の弟は相続人になることができるのですが、弟が障害者であっても障害者控除の適用を受けることはできません。

 

相続人

障害者控除が使える人

配偶者

配偶者

子ども(放棄)→弟

子ども

 

この税額控除の適用について考えるときは相続放棄がないものとして扱いますので、障害者控除が利用できるのは相続放棄をした子どもに限られ、弟に関しては障害者であってもその適用を受けられないのです。

障害者を扶養する方が控除できるケース

障害者控除は、年齢や障害の程度によって1,000万円を超える控除が適用できるケースもあります。税額控除前の金額がそれ以下だと控除額を満額使い切れないこともあるのですが、そんなときは扶養義務のある親族の方が残額について控除を受けることが可能です。

 

例えば障害者の方自身の算出税額が300万円、障害者控除額が450万円だとすれば、150万円の残額が発生します。さらに扶養義務のある方も相続財産を取得しており算出税額が400万円だとすれば、残額から控除を行い「400万円-150万円=250万円」まで税負担を軽減させられます。

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