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二次相続が発生したときは「相次相続控除」を確認! 控除の条件や控除額の大きさとは

相続税にはいくつか税額控除の仕組みが用意されています。18歳未満であれば未成年者控除が使えますし、障害のある方なら障害者控除が使えます。

 

各々の事情に合わせて税負担の軽減が認められており、その1種に「相次相続控除」という税額控除もあります。短期間に相続が続いたときは、この控除が使えないかどうかチェックしておいた方が良いでしょう。当記事でも利用条件や控除額の計算方法について紹介します。

相次相続控除の概要

「相次相続控除」とは、ある相続(二次相続)における被相続人が二次相続の開始される前10年以内の相続(一次相続)で財産を得ているとき、一次相続と二次相続の間隔に応じて税額が控除できるというものです。

 

現在の相続に係る被相続人が少し前に起こった一次相続で相続税を納めていたのであれば、同じ財産に2度課税がなされたと考えることもできます。

そこで10年を限度に、相続が連続したときは一定割合を乗じて算出された金額が控除できることとなっているのです。

相次相続控除の計算方法

相次相続控除では、相続の間隔が1年長くなるごとに控除額が逓減していきます。

 

ある兄弟X1X2の祖父Yが亡くなってX1およびX2の母Zが祖父の財産を相続。その一次相続から1年以内に母Zが亡くなって二次相続が開始されたときは、次の計算式に従い相次相続控除の効果が最大化します。逆に10年を超えると0円になって効果はなくなります。

 

X1が適用を受けられる相次相続控除の額 = 
A
×C/BA)×D/C×(10E/10

 

C/BA)が1を超える場合は1として計算する。

 

  • A:母Zが一次相続で取得した財産に関して課された相続税額
  • B:母Zが一次相続で取得した財産の価額
  • CX1X2が二次相続で取得した総財産の価額
  • DX1が二次相続で取得した財産の価額
  • E:一次相続~二次相続までの年数(1年未満は切り捨て)

 

Zが一次相続で6,000万円を相続(B)し、200万円の相続税(A)を課されたとします。そして1年以内に相続が発生(E)して、X1X26,000万円を相続(C)し、X1はそのうち4,000万円を取得(D)したとすれば、次のように控除額が計算できます。

 

X1が適用を受けられる相次相続控除の額
= 200万円×6,000万円/6,000万円-200万円)×4,000万円/6,000万円×(100/10
= 200万円×1×0.75×1
= 150万円

 

X2についても同様に計算すると控除額は50万円になります。

 

一次相続の5年後に相続が起こったときは次の通り控除額は半減します。

 

X1が適用を受けられる相次相続控除の額
= 200万円×6,000万円/6,000万円-200万円)×4,000万円/6,000万円×(105/10
= 200万円×1×0.75×0.5
= 75万円

相次相続控除の利用について

相次相続控除が利用できる方は限られています。以下に示す条件を満たしているかどうかを確認してから控除額の計算を行う必要があります。

適用を受ける条件

相次相続控除の適用を受けるには、「二次相続における被相続人の相続人」であることが必要です。

相続人しか税額控除ができないことに留意しましょう。

 

また、「一次相続との間隔が10年以内」であることも必要ですし、「二次相続における被相続人が、一次相続で財産を得た」こと、および「その財産について相続税が課税された」ことも必要です。

申告の必要性

相続税の申告は、基本的に納税が必要な場合に行います。例えば遺産の総額より基礎控除額の方が大きく、課税価格が0円であるときは申告の必要がありません。その他、未成年者控除や障害者控除、そして相次相続控除などの税額控除の適用を受けて税額が0円になるときも同じく申告は不要です。

 

ただし、「相次相続控除等の適用を受けても納税すべき額がある」ときや、「申告が必要な控除や特例を使うことで納税すべき額が0円になる」ときにも相続税の申告は必要です。
後者に該当するのは、例えば配偶者控除や小規模宅地等の特例、贈与税額控除などを利用する場面です。

 

そして相続税の申告が必要になる場合は、相次相続控除に関する申告も必要です。相続税申告書は多数の表から構成されており、相次相続控除については第7表に必要事項を記入していく必要があります。

受遺者に関する注意点

利用条件は「相続人であること」と説明した通り、相続放棄をした方は適用を受けられません。相続放棄をしても遺言書の記載に従い遺贈を受けることはでき、遺贈された財産の価額に応じて相続税は課税されます。しかしこのときでも相次相続控除の適用は受けられません。

 

また、元から相続人ではない受遺者(遺贈を受けた方)についても同様です。

 

さらに、「包括受遺者」についても適用はありませんので注意しましょう。

 

包括受遺者とは、遺産の全部または割合の指定を受けて承継する方のことです。民法上、「相続人と同じ権利義務を持つ」と規定されていますし、相続税法でも包括受遺者を相続人と同等に扱う規定がいくつか置かれています。
しかしながら、相次相続控除においては包括受遺者を相続人として扱うことはありませんので間違いのないように注意しなくてはなりません。

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