相続税の連帯納付義務~注意点や対策など~
税金というと、個々の責任で納めるというイメージがあるかもしれません。
しかし、相続税の場合、連帯納付義務というものがあり、相続人のうちひとりでも納税を怠ると全員にペナルティが課されるリスクがあります。
本記事では、連帯納付義務の概要や知っておくべきポイント、義務を回避するために事前にできる対策などについて解説していきます。
相続税の連帯納付義務とは
相続税の連帯納付義務とは、相続人が、自分自身の相続税額だけでなく、他の共同相続人が納付すべき相続税額についても、連帯して納税の責任を負うという制度です。
これは、国が相続税を徴収するために、相続人全員に課される義務です。
この義務があるため、もし他の相続人が自己の相続税を納税しなかった場合、税務署は連帯納付義務を負う他の相続人に対して、その滞納分の納付を請求することができます。
連帯納付義務の範囲
連帯納付義務が生じる上限額は、その義務を負う相続人自身が実際に取得した財産の価額から、その相続人が納めた相続税額を差し引いた金額となります。たとえば、ある相続人が取得した財産が5000万円で支払った相続税が800万円であれば、他の相続人の滞納分について連帯して負う責任の上限は5000万円から相続税額と差し引いた4200万円です。
この上限額の基準となる取得財産は、最終的に各相続人が取得した財産の価額が基準となります。
そのため、自身が相続税を支払っていた場合にも、他の相続人が滞納した場合は、自身の実質的な取得額を上限として、納税義務を負うことになります。
相続税の連帯納付義務で知っておくべきポイント
連帯納付義務は、思わぬトラブルの原因となることがあります。
この義務について、知っておくべきポイントは以下の通りです。
①相続税の連帯納付義務の時効は5年
相続税の連帯納付義務に関する時効は、申告期限から原則として5年です。
この期間内に税務署が連帯納付の通知や納付の催促を行わなかった場合、納税義務は消滅します。
ただし、税務署が1度連帯納付義務の通知を発した時点で時効は中断されます。
②相続放棄をした場合は連帯納付義務を回避できる
連帯納付義務は、相続により財産を取得した人全員に対して課される義務です。
したがって、家庭裁判所に対して相続放棄の手続きを行い、正式に受理された人は、相続税の納付はもちろん、連帯納付義務も免れることができます。
ただし、遺産分割協議においてただ相続放棄を宣言しただけでは、連帯納付義務を回避することはできません。
③納付は原則現金のみ
連帯納付義務を履行する際、滞納している相続人に代わって税金を納めることになりますが、その支払いは原則として現金のみで行わなければなりません。
相続税の納付には、延納や物納が認められる場合がありますが、他の相続人の滞納分を連帯納付義務として納める際には、原則としてこれらの方法は認められません。
そのため、突然の納税請求に対して現金での準備ができていないと、自身の財産を慌てて売却しなければならない事態に陥るリスクがあります。
連帯納付義務の負担がかからないようにするには?
連帯納付義務は、一部の相続人のさまざまな事情によって、他の相続人にまで負担が及ぶリスクがあります。
そのため、連帯納付義務によるトラブルが発生する前から、あらかじめ対策を講じておくことが重要です。
具体的には、相続が開始される前から、不動産などの換価に時間を要する財産を現金化しておくことが対策として挙げられます。
相続税は現金での一括納付が原則とされているため、事前に換価しておくことで、手元に納税資金がないという事態を回避しやすくなります。
また、相続開始後も遺産分割協議を行う際に、各相続人が取得する財産だけでなく、その相続人が納付すべき相続税額に対して、十分に支払い能力があるかを相互に確認することが重要です。
こちらにおいても、特に不動産を多く相続する相続人に関しては、納税資金として十分な現金も合わせて分割するといった配慮をすることで、納税が遅れるリスクを減らすことができます。
まとめ
相続税の連帯納付義務は、自分の取得財産の価額を限度として、他の相続人の納税責任まで負うという、税法上の義務です。
この義務は、一部の相続人の滞納によって、他の相続人に突然の現金での納税請求がくるリスクを生じさせます。
このリスクを回避しやすくするためには、各相続人の納税資金を確保するなど、事前の対策が重要です。
その他相続税に関して不明点があれば、専門の税理士にご相談ください。
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