相続税の「按分割合」とは?
相続税を計算する際、「按分割合」を用いて計算することがあります。
按分割合とは、相続財産に対する、その方が実際に取得する金額の割合です。
この記事では、相続税の按分割合について解説します。
相続税の計算
相続人が複数おり、財産を法定相続分以外の分け方で分割した場合、実際に納税する金額の計算は複雑になります。
各相続人の納税額を確定させるには、まず納めなければいけない額を計算し、その後、按分割合に従ってそれぞれの納税額を求める必要があるためです。
相続税の計算手順
相続税は以下の流れで計算します。
- 相続財産の総額を求める
- 基礎控除額を求める
- 相続財産額から基礎控除額を引き、課税対象額を求める
- 課税対象額を法定相続分どおりに取得した場合の各相続人の納税額を求める
- 納税額を合算し、今回の相続で納める相続税の総額を求める
- 相続税の総額を実際の相続割合で分割し、各相続人の納税額を求める
- 相続人ごとに各種控除を行い、納税額を確定する
法定相続分とは、民法で定められた相続割合のことです。
法定相続人が複数人いる場合、それぞれの立場に応じて、相続できる割合が定められています。
たとえば相続人が配偶者と子ども1人であれば、それぞれ2分の1ずつ相続できます。
配偶者と子ども2人であれば、配偶者は2分の1、2人の子どもは4分の1ずつ相続します。
実際に法定相続分どおりに遺産を取得する場合には、上記の4で計算した納税額がそのまま各相続人の納税すべき額になります。
ここから相続人ごとに適用される各種控除を行い、納税額を確定します。
しかし実際の取得割合が法定相続分と異なる場合には、それに応じて納税額を計算しなおさなければいけません。
相続税の按分割合
実際に取得した金額の割合を、按分割合と言います。
たとえば相続財産の総額が7,000万円であり、そのうち3,900万円を取得したとすると、按分割合は次のようになります。
相続財産総額3,900万円÷実際に取得した金額7,000万円=按分割合0.557142…
このように、割り切れない数になることも少なくありません。
按分割合の調整
実際に納める金額を計算する際には、相続税の総額を按分割合に応じて分ける必要があります。
しかし端数が発生していると、計算が複雑になり不便です。
そのため、小数点以下第2位未満の数が発生している場合には、相続人全員の合意がある場合に限り、計算しやすいよう調整することが可能です。
たとえば相続財産の総額が7,000万円であり、相続人が3名の場合、次のように取得したときには、以下のような端数が発生します。
- 相続人Aの取得額3,900万円:按分割合0.557142…
- 相続人Bの取得額1,800万円:按分割合0.257142…
- 相続人Cの取得額1,300万円:按分割合0.185714…
このままでは計算が複雑になってしまうため、小数点以下第3位以降を調整し、計算しやすい数にすることもできます。
ただし小数点以下第3位を一律で四捨五入してしまうと、合計が1.00未満になったり、1.00を超えてしまったりすることがあるため注意が必要です。
上記の例では、小数点以下第3位を一律に四捨五入すると、それぞれ按分割合は「0.56」「0.26」「0.19」となり、合計は1.01になってしまいます。
このような場合には四捨五入するのではなく、たとえば「0.559」「0.259」「0.182」など自由に調整し、合計が1.00になるようにします。
端数の調整が節税に繋がることもある
端数の調整は、相続人全員が同意していれば自由に行えます。
そのため、大きな控除を受けられる方の按分割合を意図的に高くしたり、相続税が2割加算される方の按分割合を低くしたりすることも可能です。
たとえば配偶者には配偶者控除があり、法定相続分相当額もしくは1億6,000万円までの相続に対する相続税が控除されます。
また、故人の一親等の血族や配偶者以外の方が故人の財産を受け継いだとき、その財産に課される相続税は通常よりも2割多くなります。
たとえば、故人の兄弟姉妹が該当します。
ただし例外として、故人の孫が代襲相続するときには、2割加算が適用されません。
代襲相続とは、故人に子どもがおり、その子どもが故人よりも先に亡くなっている場合に、子どもの子ども(故人からみて孫)が相続することです。
大きな控除がある方と2割加算される方がいる場合、2割加算される方の按分割合を少なくし、大きな控除がある方の割合を大きくすることで、実際に納税する額を少なくできます。
まとめ
この記事では、相続税の按分割合について解説しました。
按分割合とは、それぞれの相続人が実際に取得する金額の割合です。
納税しなければいけない金額を按分割合どおりに分け、各相続人が実際に納税すべき金額を求めます。
しかし按分割合には端数が発生することが多く、そのままでは計算が複雑です。
そのため、端数を調整することが認められており、調整の仕方によっては節税に繋がることもあります。
税金の計算や節税対策をお考えの方は、税理士までご相談ください。
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